”富嶽三十六景”や”北斎漫画”で有名な江戸時代後期の浮世絵師”葛飾北斎”は絵に没頭するがあまり、部屋の掃除をせず、汚くなると引っ越しをした。
その数実に93回。
浮世絵の達人は、ある意味〝引っ越し”の達人でもある。
開業場所も決まり、新居も決まり、あとは愛媛に引っ越すのみ。
行かないと”とくし丸”の”と”の字も始まらない状態です。
先住の方の退去日+クリーニング期間があり、4月中旬になってしまいましたが・・・その分ゆったりと引っ越し準備が出来ました。
要らない物は、この際だから捨ててしまおう!
それが”引っ越し”の鉄則!
今までも(もったいな~い)だの(何かに使えるかも?)と、どんどん物が増えてきましたが、この機に一気に捨ててしまおう!
それは分かっているけれど、どうしても捨てられな~い。
今まで家にやって来た”ぬいぐるみ”達!
総勢50体(正式に数えた事ないのでおよその数)
「嫁~お願いだから捨てないでくれ~」
洗濯してまた連れていく事になりました(こりゃ、荷物へ減らんわな・・・)
で、家の中は段ボールだらけ。
引っ越し屋さんに追加で段ボールをもらう始末です。
さて今回は、その引っ越し屋さんの話。
この業界も大変だなぁと、思わされる話です。
東京に帰るなり、さっそく引っ越し業者に連絡。
3社にネットで見積もりを求めました。
まずS引越センターからTEL。少し遅れてA引越センター。最後にH引越センター。
その順に見積もりの訪問をしてもらうことにしました。
ただこの時期の引っ越しは、かなりな高額+日が取れないこともあるそう。
先ほどの話通り、嫁と二人暮らしの割に、飽食の生活を送り荷物は半端でない。
さらに地獄の東京~愛媛間の長距離引越。
ネットの概算では、50万越え・・・!
予算上、回転資金が足りなくなりそう・・・
と不安をよそにまずはS引越センターから訪問してくれました。
「僕は香川の出身で、ぜひ向こうに行ったら、讃岐うどんの”綿屋”に行ってみてくださいよ。美味しいですから!」
若くておしゃべり上手、今時系の担当さんでした。
「通常で見積もると42万なんですが”今”お返事いただけるなら、上と35万で話しつけらると思います。”今日”なら、部長も休みなので、その絡みで35万をねじ込めると思うんですよ」
35万か!50万越えから考えれば、破格だ。
しかし他にも、見積もりだしている旨伝え、頼むときには連絡しますと伝え、ここは引き取ってもらいました。
「まずは部屋を見せてもらいまして、数字を出しますね」
A引越センターの担当のかた。
Sと同じくらいの年で、生真面目そうなしっかりした青年。Sとは対照的な人です。
そういえばS担当は、部屋を見るのも大雑把だったな。
「概算ですと42万ですが、35万で了解とってみますね」
とさっそく本社に連絡するA担当。
「まず出ない数字ですが、今回35万で了解得ました。いかがですか、35万で」
35万か!しかも了解も取ってくれている。
S担当には悪いけど、了解得られてる35万と、ねじ込めるかわからん35万では、即決度が違う。
サラリーマンから新米個人事業主となり、とくし丸もうまくいく保証は今のところ全くない。
資金のことを考えれば、少しでも残しておきたいところ。
「わかりました。今回の引っ越しはAさんに決めましょう。よろしくお願いします」
とA引越センターに決めました。
まずH引越センターにはTELで、他で決まった旨伝えキャンセル。
Sは連絡しなければ、キャンセルのはずなのですが・・・
その日の夕方、S担当から電話。
「それでその後いかがですか?」
「申し訳ないですが、Aで35万で決めてしまったので、今回はすみません」
「そんな・・・出身が四国なのでこれも何かの縁と思ってますので、いかがですか?同じ35万のOKもらいますから!」
「すみません。もう決めてしまったんで・・・」
「わかりました・・・けど少し待ってもらっていいですか?上と話してみますから」
と待つこと10分。
「上と話しまして、33万でOKもらいましたが、いかがでしょうか?」
まじか!35万でも出来るかどうかじゃなかったんかい?
「わかりました!それじゃAに話してみましょう」
以下は電話でのやり取り・・・
A「そんな・・・わかりました・・・上に相談してみるので折り返します」
A「同じ33万でOK取ったんで、うちでお願いします」
自分「Sと話してみましょう。折り返します」
はは~ん。何となくわかって来たぞ。
自分「Aさんが〝32万″(本当は・・・)って言ってくれたので、Aに決めちゃいますよ。ごめんなさい」
S「ちょっと待ってください!もう一度話してみます!」
S「30万でごり押ししました!これでだめなら諦めます!いかがですか?」
自分「え!逆に大丈夫ですか?わかりました、折り返します。」
A「30ですか・・・これじゃイタチごっこですね・・・わかりました、今回は諦めます。」
本当にごめんなさい!!勢いで競争させてしまって・・・
申し訳ない気持ちがあるとは言え、ネットの概算の約半分!
見積もりは数社に出したほうが良いのはわかっていたが、まさかこんなにオークションになるとは・・・
おそらく業者間でも、暗黙の見せラインと暗黙の最下値があって、最初に30の数字を出したほうが”勝ち!”と言う事でしょう。
ごめんなさい!A引越センターさん。
後日談、いざ引っ越しの日。
S引越センターの現場の人たちは素晴らしかった!
確かに出の時には1名頭少なく、2名でやってはいたものの(30万だもんなぁ)スーパーマンみたいな人が一人で、中身入りタンス・テレビ・机・冷蔵庫と全部手際よく運び出します。
一人でです!
入りでは5名で指示通り運び入れ、最後の”10分手伝い”で蛍光灯の取り付けや軽い掃除まで、やって頂きました。
みなさん愛想よく、気の良い人たちでした。
これで30万か!と唸らされました。
名誉のためですが、A引越センターでも、おそらく同じレベルの作業をしてもらったと思います。
今回の引越先は家賃がやや高いので遠からずまた引越しをするでしょう。
その時はまたSとAの引越センターに見積もりを出そうと思います。
もちろん、オークション付きで・・・つづく・・・
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