「お客様は神様です」は三波春夫の名台詞で、レッツゴー三匹の漫才によって拡散された。お客様は絶対であり、誠心誠意尽くさなければならない。販売業・サービス業、お客様を相手にする職業の方は、そう教えられ、物言わぬお客様もそう教育され、物申すお客様に変化してきた。
三波春夫の公式HPでは「三波本人の真意とは違う意味に、捉えられたり使われたりしていることが、多くございます」とある。本来の真意は、”神様の前で歌うが如く、捧げるつもりで歌う”である。
そう言えば、神様はお金を払ったりしないし、小さな事で小言は言わない。
今は昔の話、二十歳過ぎて”営業”の仕事を探していたとき、良いところが見つからないので、セブンイレブンの個人商店に正社員で入り(給料もそこそこ良かったので)その間に探そうと思っていました。
しかしそこの店は、セブンイレブンでも日本で1番(と言うことは世界で1番)の売上げの、超繁盛店。昼間はオフィス街で民家も多く、夜は有楽街。朝から晩まで・・・いや朝から朝までお客様が途切れないお店でした。近くの東急が休みの時は、記憶の中では800万位の日販だったと思います。
「こりゃ面白れぇ」と2~3か月で辞める予定が、8年間勤めることに。それから百貨店やドンキ、そしてスーパーに・・・販売街道まっしぐらでした。
その面白れぇの一つは、お客さん。セブンイレブンでは、色々な常連のお客様と、よく飲みに行ってはバカ話に花を咲かせ、割り勘だったりおごりおごられ、ある意味セブンイレブンのコミュニティが形成されていました。
「お客さん、今日は弁当の新商品があるよ!おいしかったですよ!」
なんてこともよく言っていました。
そうその当時は、”お客さん”でした。
いつの間にか”お客様”に変化し、下の物にも「お客さんではなく、お客様だろ!」なんてことを教えてきました。
なぜ”お客さん”じゃダメなのか?時々考えますが、答えは出ません。”お客様”のほうが、客商売としての気持ちが上のような気もしますが・・・
自分の中では、明らかに”お客さん”から”お客様”に変わってから、”お客さん”との間に壁ができたように感じます。販売業の面白みの半分が、無くなった気がするのです。
そこも、とくし丸に惹かれた一つでもあります・・・
先日とくし丸ラッキーセブン号に乗って、とあるお客様宅に行ったときのこと。
「お父さんが、釣ってきたんよ、これ」
「あんたんとこの魚、小さいのばっかで、1000円も2000円も取っからなぁ。見てみぃや。」
「だからお父さんとこ、魚買ってくんないんだぁ!ちぇ!」
とまぁ誇らしげなお父さんに、写真を撮らせてもらい、次のお家へ。
”お客様”から”お客さん”に変わった瞬間でした。つづく・・・
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