現在では日常で用いられることはないが、昭和20年代以前生まれであれば、多くの人が聞いたことのある方言である。
横須賀のソウルフードとして ”のりだんだん” なるお弁当がある。
いわゆるのり弁だが、ご飯の上と真ん中に海苔が敷かれていて、海苔とご飯の間には、醤油をぬりおかかも敷き詰める。
しかしその定義は特に決まっていない。
こののり弁当、小さい時によく作ってもらったのではないだろうか?
ノスタルジックなこのお弁当を”のりだんだん”と呼ぶのは、ごく一部の地域だけである。
地元有志により”のりだんだん協議会”なるものまで発足され、2014年には”よこすか産業まつり”にも出店し”のりだんだん弁当”の販売アンケートを行った。
この”のりだんだん”の呼び名は、横須賀市でも偏りがあるが、比較的海岸沿いはこの呼び名が浸透している。
横須賀市は、神奈川県の海苔の生産量の7割を占めているだけに、海苔へのこだわりがあるのかもしれない。
所変わってやはりこちらも海苔の名産、北海道松前。
こちらでも”のりだんだん”の呼び方をする(調べでは、ここを含め3地域である)
”岩海苔だんだん”920円
たかが海苔とバカにするなかれ、10枚5,000円ほどする松前の名産である海苔を使った”のりだんだん”である。
はたまたこちらは、同じく北海道松前にある”レストラン矢野”の”のりだんだん” 定食 1,000円
たかがのり弁当・・・されどのり弁当。
北海道松前に行ったならば、是非お確かめください。
海苔の違いは歴然です。
横須賀・松前どちらにしても、思い出のおかぁさん弁当や地元の産物に対する”だんだん”には変わりない。
かれこれ2か月前”松山城”に行った時の話、覚えてますか?(vol.135 松山城 参照)
ロープウエイに乗った時に、数分のアナウンスの最後に・・・
「松山城は・・・・となっております。本日は松山城にお越し下さり、ありがとうございました。だんだん」
ぎゅうぎゅうの中で、嫁と顔を見合わせました。
「”だんだん”って何だ?」
すごく気になる単語でしたが、それが何かは後日の報告で・・・
となりましたが・・・
”だんだん”って、何なんだ~!
”段々”?”団々”?”暖暖”?”段田段”?”ダダ”?”ダダ~ン”?
いろいろ想像は膨らみましたが・・・(どんな想像してるんだ!)
”だんだん”とは、”ありがとう”の意味だったんですね。
愛媛県をはじめ、鳥取・島根・福岡・長崎などで使われていた、今ではまず使われることのない方言です。
”坂の上の雲”でも、冒頭から度々”だんだん”のセリフが出てきました。
さりげないけど優しさのある、いい言葉だと感じました。
でも本当に、昔は使ってたのかいな?
都合の良い事に、自分は今”とくし丸”で毎日愛媛県を走っています。
お客さんはお年寄りが多いです。
それじゃ!聞いてみるしかないでしょ!
と言う事で、数人の”長老”(失礼な!)に聞いてみました!
「最近”坂の上の雲”のドラマを見ているんですけど。よく出てくる”だんだん”って、昔は使ってたんですか?」
の問いを数人の”長老”に聞いてみました。
ある”長老”は・・・
「あ~昔は使ってたみたいだねぇ~だけど私は生まれが鹿児島で、結婚してからこっち来たから、よくは分からんのよねぇ~」
う~ん、確かにイントネーションが違う方だなぁと、思っていました!
違う”長老”は・・・
「昔は使ってたわねぇ。私も使ってたけど、女学校で違う県に行ってしまったんでね。それからは使わなんだ」
”女学校”ですか。
「その頃は、美人だったんでしょうね」
「あんた!そんな事言っても、何もでんよ!」
また違う”長老”は・・・
「あんた懐かしい言葉知っとるね。昔はみんな使ってたけど、相当昔よ。もう今は聞かんけん」
「なかなかいい言葉ですよね。響きがいいと言うか、温かいと言うか」
「そうじゃの~」
お会計を終えて
「今度金曜日に来るんで、またお願いしま~す。だんだん~」
すると”長老”も・・・
「ほほほ、それじゃ”だんだん”さん」
笑顔でお家に入って行かれました。
今では使われなくなった”ありがとう”の言葉。
”だんだん”
毎日”だんだん”の日々ですが、次回は”スペシャルだんだん”の回です。
こうご期待!だんだん・・・
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