vol.147 だんだん

 だんだん・・・西日本を中心に”ありがとう”を表す方言。
 現在では日常で用いられることはないが、昭和20年代以前生まれであれば、多くの人が聞いたことのある方言である。

 横須賀のソウルフードとして ”のりだんだん” なるお弁当がある。
b0f08314.jpg2_2_640.jpg







 いわゆるのり弁だが、ご飯の上と真ん中に海苔が敷かれていて、海苔とご飯の間には、醤油をぬりおかかも敷き詰める。
 しかしその定義は特に決まっていない。
 
 こののり弁当、小さい時によく作ってもらったのではないだろうか?
 ノスタルジックなこのお弁当を”のりだんだん”と呼ぶのは、ごく一部の地域だけである。

 地元有志により”のりだんだん協議会”なるものまで発足され、2014年には”よこすか産業まつり”にも出店し”のりだんだん弁当”の販売アンケートを行った。
images5ZJBBDD6.jpg1139bbbb.jpg







 この”のりだんだん”の呼び名は、横須賀市でも偏りがあるが、比較的海岸沿いはこの呼び名が浸透している。
 横須賀市は、神奈川県の海苔の生産量の7割を占めているだけに、海苔へのこだわりがあるのかもしれない。

 所変わってやはりこちらも海苔の名産、北海道松前。
 こちらでも”のりだんだん”の呼び方をする(調べでは、ここを含め3地域である)
imagesWH2VWF3H.jpgo0480036012586947094.jpg







 ”岩海苔だんだん”920円
 たかが海苔とバカにするなかれ、10枚5,000円ほどする松前の名産である海苔を使った”のりだんだん”である。
 はたまたこちらは、同じく北海道松前にある”レストラン矢野”の”のりだんだん” 定食 1,000円
imagesE148OHKK.jpgimages55ZOP24U.jpg







 たかがのり弁当・・・されどのり弁当。
 北海道松前に行ったならば、是非お確かめください。
 海苔の違いは歴然です。

 横須賀・松前どちらにしても、思い出のおかぁさん弁当や地元の産物に対する”だんだん”には変わりない。



 かれこれ2か月前”松山城”に行った時の話、覚えてますか?(vol.135 松山城 参照)
 ロープウエイに乗った時に、数分のアナウンスの最後に・・・
imagesR.jpgimagesT.jpg








 「松山城は・・・・となっております。本日は松山城にお越し下さり、ありがとうございました。だんだん」
 ぎゅうぎゅうの中で、嫁と顔を見合わせました。
 「”だんだん”って何だ?」
 すごく気になる単語でしたが、それが何かは後日の報告で・・・

 となりましたが・・・
 ”だんだん”って、何なんだ~!

 ”段々”?”団々”?”暖暖”?”段田段”?”ダダ”?”ダダ~ン”?
images21UBHNRT.jpg201504220213208ef.jpgimages.jpg20150807221358.jpg




 いろいろ想像は膨らみましたが・・・(どんな想像してるんだ!)
 ”だんだん”とは、”ありがとう”の意味だったんですね。
 愛媛県をはじめ、鳥取・島根・福岡・長崎などで使われていた、今ではまず使われることのない方言です。

 ”坂の上の雲”でも、冒頭から度々”だんだん”のセリフが出てきました。
 さりげないけど優しさのある、いい言葉だと感じました。

 でも本当に、昔は使ってたのかいな?

 都合の良い事に、自分は今”とくし丸”で毎日愛媛県を走っています。
 お客さんはお年寄りが多いです。

 それじゃ!聞いてみるしかないでしょ!

 と言う事で、数人の”長老”(失礼な!)に聞いてみました!

 「最近”坂の上の雲”のドラマを見ているんですけど。よく出てくる”だんだん”って、昔は使ってたんですか?」
 の問いを数人の”長老”に聞いてみました。

 ある”長老”は・・・
 「あ~昔は使ってたみたいだねぇ~だけど私は生まれが鹿児島で、結婚してからこっち来たから、よくは分からんのよねぇ~」
 う~ん、確かにイントネーションが違う方だなぁと、思っていました!

 違う”長老”は・・・
 「昔は使ってたわねぇ。私も使ってたけど、女学校で違う県に行ってしまったんでね。それからは使わなんだ」
 ”女学校”ですか。
 「その頃は、美人だったんでしょうね」
 「あんた!そんな事言っても、何もでんよ!」

 また違う”長老”は・・・
 「あんた懐かしい言葉知っとるね。昔はみんな使ってたけど、相当昔よ。もう今は聞かんけん」
 「なかなかいい言葉ですよね。響きがいいと言うか、温かいと言うか」
 「そうじゃの~」
 お会計を終えて
 「今度金曜日に来るんで、またお願いしま~す。だんだん~」
 すると”長老”も・・・
 「ほほほ、それじゃ”だんだん”さん」
 笑顔でお家に入って行かれました。

 今では使われなくなった”ありがとう”の言葉。
 ”だんだん”
 
 毎日”だんだん”の日々ですが、次回は”スペシャルだんだん”の回です。
 こうご期待!だんだん・・・
imagesGEV5ZZSA.jpg






愛媛県ランキング





 
 
 

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック